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近隣類似売買物件とは? COMPARABLE SALES、COMPS、コンプスとは

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アメリカ不動産投資で資産倍増中!ブログ管理人の中山道子です。

 

この記事の要点

COMPARABLE SALESとは、「近隣で最近売れた類似物件」。英語で、略語としてコンプスと呼び、検討している対象物件の価値を見定めるのに使う。居宅の「コンプス」は、比較的判断がつきやすいが、商業案件のコンプスは、純粋な店舗のみならず、「5室以上のアパート/マンション」を含め、判断が、より難しい。無料コンプスと有料コンプスの違いとはなにか。

 

前のブログで、投資用語をご説明する記事をよく掲載していたので、そのスタイルを踏襲したいと思います。

 

今日は、COMPSとはなにか。

 

COMPARABLES、市中で、対象物件の周囲にある類似物件が、いくらで売買されているか、という「対象物件の価値を比較によって見積もる際に利用するデータ」です。

 

 

購入対象物件を検討する際に、

 

近隣の類似物件が最近いくらで売れているか

 

を検討するプロセスは、大変大切なものです。これらのCOMPARABLE SALES(近隣類似売買履歴)が、本当に、対象物件にとって意味のある売買履歴であるかということを判断するには、上の定義から導かれる特徴として、まず、下のいくつかのポイントを検討することが必要です。  

 

  1. 近所にあるか
  2. 似た物件であるか
  3. 最近の売買であるか

 

という3つですね。 ここで、普通のレジ物件、つまり、居住用の一般家屋について、連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association)、通称ファニーメイFannie Mae)が制定しているガイドラインを参考に、これらの意味を、より正確に読み取っていきましょう。

 

ファニーメイのCOMPSについてのガイドライン該当箇所(2018年6月5日付)

 

それによると、

 

1)近所にあるか=Same Neighborhood のルール

 

については、within the same neighborhood (including subdivision or project) という指標。該当エリアの特徴を、プラス面においても、マイナス面においても、同じように擁している必要があります。(The same positive and negative location characteristics)

 

何がSAME NEIGHBORHOODなのか。同じエリアに、類似物件の売買履歴がないときにはどうするのか。不動産鑑定士向けに細かいガイドラインも当然あります。

 

一般的な例としては、同じ郵便番号であるというより、同じエリア内(例えば、◯☓市内で、△△というエリアとして知られている)、同じ学区内である、といった特徴を厳密に考慮する必要があります。

 

米国では、学区が異なると、通りの向かいの物件価格がガクッと落ちるという事がよくあり、そうした細かい知識は、経験のある地元業者さんが判断してくれるところです。

 

2)似た物件であるか= Similar physical and legal characteristics のルール

 

については、まず、第一原則として、類似の物理的、かつ法的な特徴を擁していること(similar physical and legal characteristics)であること。

 

物理的はわかりますが、法的とは?

 

例えば、同じ3ベッドルームだからといって、一戸建てをマンションの区分所有と比べることはできませんね。

 

物理的類似性の例は、場所(site)、部屋数(room count)、居住可能エリアのサイズ(gross living area)、建築様式(style)や物件の状態(condition)。

 

3)最近の売買であるか= Within the last 12 months のルール

 

年前では市場の状況が全く違います。そのため、ファニーメイでは、直近12ヶ月という数字が出ています。

 

ただ、実際には、市中では通常、6ヶ月以内を使うことのほうが多いように思います。例外として、農村部などで、近隣で売買履歴が出ない時、などは、しかたがありませんが。

 

以上が銀行融資目的で、正式の有料鑑定を行う場合の概要。また、鑑定書には、通常、3つの「最適類似物件」を掲載する必要があります。

 

つまり、コンプスは、一つでは、役に立ちません。似た物件を3つくらいはリストアップし、そこから、対象物件の相場観を作っていくわけです。

 

===

 

以上のガイドラインは、レジデンシャル、つまり普通の家屋、居宅物件用のガイドラインです。

 

米国は、個人主義の国というイメージがありますが、住宅については、「好きな家を建てる」ということは、実は余り行われません。

 

エリアには、みんな、似たタイプの家しか無く、都市部で、普通のレジデンシャルの物件を鑑定するときは、割合、近隣物件と比べやすく、そのため、ジロー(ZILLOW)のような「オンラインなんちゃって鑑定サービス」が発達する土壌があります。

 

例えば、この記事で利用した上の写真は、

 

「私が昔ラスベガスで持っていたマンション(区分所有)の外観をグーグルのストリートビューから見た」

 

ものです。

 

なにせ、大型マンション内ではほぼ似た間取りの物件が、建築年数も外観も仕様も同じ状況で、たくさん売買や賃貸されているわけですから、対象SUBDIVISION(一つの敷地)内の物件は、みんな、値段はそう変わらないということになります。この場合、COMPSとしては、このマンション敷地外の他のマンションを見る必要は、ほとんどありません。

 

ちなみに、ラスベガスでは、このスタイル、SPANISH COLONIAL/STUCCO(スペイン風コロニアルスタイル、木造に漆喰)が一般的で、正直、レンガの家とか、見たことは一度もありません。

 

こちら、ベガスの私の持っている別の家の近所の空からの写真、やはり、グーグル様におせわになりました。

 

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 ベガスすべてが、どの家も、ほぼ、同じこのスタイルなのです。昔ベガスに住んでいたときは、目印がなくて、家の近くで、よく迷いました。

 

当時は、世の中に、GPSというものがなかったという。。。

 

他方、ニューイングランドに行けば、こういう漆喰仕上げは見たことありません。

 

漆喰は寒暖の差を嫌うということですので、つねに暖かい地方、つまり、ネバダ、フロリダ、カルフォルニア、テキサス、ハワイ、グアムなどのエリアでないと、使いものにならないわけです。

 

このように、エリアごとに、最適な建築様式が導かれるという歴史的特徴があり、そのことで、町並みが揃います。景観の作り方としてのみならず、売買にあたっての不動産鑑定をするにあたっても実用的な仕組みなんですよね。

 

さて、居宅の鑑定は、このように、都市部では、それほどは難しくないのですが、商業物件の場合、鑑定は、物件概要によっては、大変難しくなります。

 

理由は、商業物件は、個性があるから。

 

例えば、数週間前に、「託児所」を経営している方に融資をしたのですが、その際には、その物件の価値を鑑定するにあたっては、「同じ近所の託児所で数ヶ月以内に売れているものを3つ」リストアップとは行きません。

 

そこで、その鑑定書は、対象エリアを広げて、似たタイプの物件を近隣都市(車で1,2時間の範囲)で探す形で、COMPSを持ってきて、対象物件の価値を鑑定してくる体裁をとっていました。

 

商業案件の鑑定は難しいので、特にお気をつけください。

 

ちなみに、また別に機会をとってご説明をしたいのですが、商業案件の定義には、米国では、「5室以上のアパートやマンション」も入ります。日本と違うので、注意ポイントです。

 

例えば、以下のケースを検討してみて下さい。  

 

 

==商業案件絡みで、素人が見極めにくいケースの例==

 

「一筆もののアパートをレノべし、法的にも、区分所有可能な分譲マンションに仕立て直したケース」

 

通常、賃貸用のアパート建築は、分譲用のマンション建築より質が落ちるものです。

 

そんな老朽中古アパートをレノべし、法的に分筆手続きも行い、分譲マンションに仕立て直し、区分所有権を部屋ごとに譲渡することで利ざやを稼ぐのが専門というデベロッパーというのもいます。

 

こういう《レノベ式分譲マンション》は、広さや築年数が、たとえ、近所の《最初から分譲マンションだった案件》に似てはいても、地元の人には《レノべもの。もともとは賃貸用のアパートだった》という事実が知れ渡っており、前よりはグレードは上がりますが、本来の分譲マンションと同じ評価にはなりません。

 

下は全く空想上の例なので数字は現実性がないのですが、

 

1)分譲式中古マンション一棟がまるごと売りに出され、購入価格が500万ドルだとしたら、

2)隣の一筆もの類似サイズのアパート一棟の購入価格は200万ドル

3)2)をリフォーム、分筆して、分譲式中古マンション一棟に仕立て直した価格は、400万ドル

 

といったふうに、序列ができるでしょう。

 

なので、1棟買いの場合のみならず、下のケースで見ても、

 

 《アパート物件を分筆して、各部屋を区分所有に仕立て直した場合》

 《隣りにある「最初から分譲形式」だった物件の中の一室の区分所有権》

 

両者に、全く同じ価値はないでしょう。

 

法的な特徴が、歴史的にちょっと違い、そのことで、どうしても価値に差が出るのです。私は、過去に、素人向けに、この2つが一緒くたにされている営業資料というものも、見たことがありますが、誤解を招くと感じました。

 

==素人が見極めにくいケースの例 終わり==  

 

最後に、COMPSは、いくつかのレベルで可能です。  

 

  • ジローのZestimate®。無料公開情報を利用したアルゴリズムで算出
  • 普通の仲介の営業の方がやってくれる無料COMPS
  • 不動産ブローカーがやってくれる無料のBROKER’S PRICE OPINION
  • 不動産鑑定士が有料で銀行融資を前提として行う鑑定

 

オンラインで無料サーチする場合、ZILLOWやTRULIA、REDFINなどの不動産情報サイトのアバウトな鑑定額を参考にするところから始める方が多いと思います。

 

これらの情報は、公開情報をフィードする形でデータ処理されているので、不動産関係の情報に透明性がある都市では、より正確性が高いですが、情報不足による問題点は克服できていないことも多いです。

 

そこで、仲介の営業の方や、その人が所属する不動産会社のブローカーさんがやってくれるのが「業者用の正確な情報データベースを使っての見積もり」。ジローなどの一般流通資料より、利用するデータベースの正確性が高いわけです。

 

最初から有料鑑定書を取り寄せることは必要ありませんが、通常、不動産売買を巡っては、

 

> まずは、ジローなどでオンラインの価値を見たりし

> その後、仲介レアルターさんに無料のCOMPSを見繕ってもらい、

> 最後に、銀行融資を取得する段階で有料の鑑定書を取り寄せる

 

といった流れが一般的です。

 

無料のCOMPSと有料の鑑定の違いは、

 

1)不動産業者やAIが行うか、専用のライセンスのある不動産鑑定士が行うか

2)無料のものは、通常、該当物件の中に立ち入らず行う

 

ものであるということ。鑑定士が行う本当の鑑定は、通常必ず立ち入り、中の状態を確認します。そのため、正式の銀行融資は、通常、鑑定士が行った鑑定書がない限りは、実行されません。

 

もし、銀行融資を引かずに、現金を用い、物件を購入されたい場合は、有料鑑定書をオーダーされない場合もあるかもしれません。しかし、そんなときでも、ジローででも、似た物件を地元で売っている競合の不動産業者さんにコンタクトを取り、無料でBPO(BROKER’S PRICE OPINION)を依頼されるといいでしょう。

 

また、たまに、<20万ドルで売買契約を締結したが、鑑定の結果、19万ドルの価値評価しか出なかった>、といった事がありえます。

 

この場合、

 

① 買い手市場なら19万ドルまで値下げ交渉をする

② 売り手市場なら、自己資金充当

③ 合意ができなければ、破談 といったいくつかのオプションを追求することになります。

 

話し出せばきりがなく、多少まとまりがなかったかもしれませんが、以上、

 

《近隣類似物件売買価格とはなにか》

《どんな種類があるか》
1)無料、有料の違い
2)誰がやるか  AIが公開情報を使い、アルゴリズムで。  業者さんが業者用データベースを使って。  鑑定士が実際に中に立ち入った上で業者用データベースを使って。
3)居宅用、商業用の違いの注意点

《個別ケースを引いての注意点》

 

などのトピックを扱ってみました。

 

こうしてみると、COMPSの見方も、割合トリッキーなことがありうることがおわかりいただけたかと思います。

 

ちなみに、私のサービスメニューの一環として、

 

物件購入に当たり、セカンドオピニオンコンサル

 

をご検討いただくことが可能です。300ドルで、3時間まで、電話で案件吟味にあたって検討するべき事項をご説明できますので、対米投資を始めたばかりの方は、ぜひご検討ください。

 

過去にご相談を受け、100万ドル単位のロスを未然に防いだ経験もあります。

 

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