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アメリカでは、「民法」ってあるのですか?

この前、不動産投資英語を教えている英語塾で、こんな質問がありました。法学部の先生がなんと答えられるかはわかりませんが、素人向けの答えは、「日本流のものは、ないんです」というところでしょうか。

というのも、日本の場合、ナポレオン民法などを参考にした民法典というものが、あり、それを出発点として、商法など、また、その他、数限りないいくつもの特別法が「法律」として、「全国共通に」存在していますよね?

アメリカの場合、実は、ここでも、連邦制であることが、日本との違い。

つまり、全米レベル、連邦共通の民法典というものが、ないのです。

もともと、アメリカは、イギリス法の流れを汲んでおり、イギリス法というのは、市民革命がなかったので、フランスのように、市民法典を議会が作るということをしなかったのです。

その代わり、イギリスで、国民の権利を守ってきたのが、荘園制度時代にも通用していたコモンローの伝統。慣習や判例法の累積で、「これ」という法典解釈が出発点のヨーロッパ型の法律と違うわけです。

アメリカでは、イギリスに対する市民革命は起こしましたが、そのとき、連邦制度を採ったため、日本で民法が規律する関係領域、つまり、財産関係の法律や家族法、商法などは、すべて、「各州レベル」で決めていく、ということになったのです。

そして、アメリカでは、多くの州で、イギリス流のコモンロー体制を踏襲し、法律は、「コモンロー的な体制を文章化する」とか、「不十分なところを、立法化する」といった「プラスオン」的な方法で、対応をして、現在に至っているのです。

このため、例えば、「アメリカでは、夫婦財産法はどうなっていますか?」と、聞かれれば、「どの州で?」と間髪をいれず、逆に質問が飛びます。

このブログでも、カルフォルニアなどでは、夫婦共有制を取っていて、それ以外の州では、必ずしもそうではなくて、といった話を、昔、したことがあります(こちらから)。

対米投資家は、家族法が、各州レベルであるのと同様に、損害賠償関係や、会社法、商法も、同様であることを、覚えておく必要があります。

例えば、最近、私がよくお手伝いしているLLC設立についても(去年、6社、当社投資家様が、設立)、「ネバダやデラウエアのLLCを作れば、タックスヘーブンになるのではないですか?」などと聞かれる場合がありますが、ミシガン州デトロイト市で不動産経営することが決まっていれば、ネバダで設立しても、会社をミシガン州で営業するわけですから、ネバダ州で申告をして済ませられるわけではなく、アメリカの仕組みでは、ミシガン州で申告をしなければならず、特段節税にならないほか、ミシガン州内で、「当該LLCについての法的解釈」が問題になったときには、結局、ミシガン州の裁判所が、問題を判断することになり、「このLLCは、ネバダLLCなので、ミシガン州のLLCと違うこの部分を尊重してください。ここが決め手で、わざわざネバダで設立したんですから」などといっても、逆に、「ミシガンで営業することを前提に、ネバダLLCを設立したって、通らないぞ。この州では、LLCは、”こういうもの”と決まっていて、みんな、その期待の元、行動しているんだ」と判断されてしまう可能性もあるわけです。

このように、アメリカ法を理解する場合は、アメリカが、連邦制であることを理解するのがすべての出発点になります。

日本で、国際関係を手がける弁護士のことを、渉外弁護士と呼びますが、アメリカでは、州同士のやり取りは、すべて、「渉外」なんですね。

アメリカ人自身も、法的バックグラウンドがない方は、よくわかっていない部分で、逆に、アメリカの素人向けの法律ノウハウ書なんかを読んでも、こういう連邦制についての説明がないので、逆に、わかりにくいことがありますが、中央集権的な日本法と対比させて考えてみると、わかる部分もあるかもしれません。