《アメリカ不動産投資で資産倍増中!》管理人の中山道子です。テクニカルな話ですが、米国不動産に必須のシステムについてご紹介しておきます。
この記事の概要
米国不動産投資において、公証とは、
1)公証人の前で、2)公証が必要とされる書類に、3)本人確認と任意性を確認しながらサインをすることで
取引の安定を確保する制度です。現地に行って決済するのが不都合な場合、居住地にて公証サービスを取り入れることで、取引を効率よく行うことが可能になります。具体的な方法をご説明します。
単語的には、以下のいずれかの形でご覧になるかもしれません。
NOTARY (PUBLIC) 名詞。公証人
NOTARIZE 動詞。公証すること
NOTARIZATION 名詞。公証することそのものを言う。
NOTARIAL 形容詞。「公証に関係する」。
NOTARIALS 名詞。「公証関係事務(窓口)」といった意味で用いられているのを見ます。
公証とは、取引にあたって必要な書類について
1,資格のある公証人の前で、
2,公証が必要とされる書類(不動産の場合、通常、登記する書類)に、
3,任意にサインをし、もって本人確認と自発的にサインをした旨を証明するプロセス
です。
それぞれを見ていきましょう。
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1,どこで公証してもらえるか
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<米国居住者は、お近くの銀行やUPSのオフィスで公証してもらいます。>
ご勤務先などで、補助業務や定型業務に関わっている担当者が公証人の資格があるといったケースもあるかと思います。
通常、口座がある銀行のいずれかの支店に行って「口座があります。公証サービスを受けたいです」というと、アポ無しで、すぐ無料で公証してくれるサービスが受けられます。口座が実際にあるかは確認しませんので、旅行中で困っているときは、どちらにしても近くの銀行に駆け込みましょう。
その他、UPSの窓口の方は、誰でも公証人の資格があるようで、こちらは、通常、15ドルといった額で随時公証してくれます。遠隔で一式書類を送らなければいけない場合は、公証不要の書類にはすべて事前にサインをしてからUPSの事務所で公証だけしてもらい、そのまま配送するといったことが可能です。
<日本に居住されている場合、オプションは2つ。日本の公証役場に行くか、米国大使館・領事館に行くかです。>
日本の公証役場の所在地は、下の一覧で見つかります。
条約があるので、日本の公証人のサインは、原則として、米国実務上、スムーズに受け入れられます。
ただ、稀に、担当者がそうした事情に疎いなどの理由で、「海外の公証人の公証を受け入れたくない」といったケースを見聞きすることがあります。
「投資にあたり、公証が必要です」と言われた場合、日本の公証人役場で行う公証で問題ないのか、仲介業者さんを通じて事前に確認しておくことをお勧めします。
米国不動産投資関係の書類の公証の必要があって、日本の公証人の前で書類に公証をする場合、費用は、2018年現在、通常、1件に付き、1万1,000円となっているようです。
多少割高感がありますが、反面、平日の9時から5時までの間、営業しているので、都合の良い時間にすぐ行けます。地方在住者にとっては、公証役場が一番便利でしょう。
注意点としては、「外国人が多く行きそうなエリア」の公証役場を選ぶほうが、相手が慣れています。関連して、海外取引の公証に慣れない公証人に当たると、「書面で書類の内容を簡単に説明したものを一緒に持ってきてください」と言われることがありえます。
アポなしでも会ってくれますが、こうした点をクリアにするため、事前に電話で確認ししてから行くと良いでしょう。
首都圏などに居住されている場合は、大使館、領事館に行って公証することも可能です。
こちらのほうが安いのですが(2018年現在の手数料は、1件50ドル)、アポイントを取ってから行く必要があり、米国の管轄地への立ち入りとなるので、セキュリティ対策などが結構面倒です。
下のページでオンラインのアポイントを取ったら予約ページをプリントアウトして持っていきましょう。場所によっては、パスポートのコピーを要求されることもあります。
館外でのビザ申請組の列が長い場合は、「VISAではなく、米国市民サービスを受けます」ということをはっきりさせ、正しい列(通常市民サービス利用者用の列はずっと短い)に並ばないと時間が大幅に無駄になります。
館内に入るに当たっては、基本、大きな荷物を持たずに行かれることをお勧めします。パソコンや携帯電話はもちろん、最近だと、巾着タイプのバックパックやスマートキー(FOBキー)も館内持ち込み禁止です。
日本で米国大使館で公証をする際の注意事項やアポイントのページ
〈日米以外の国で公証手配をしなければいけない場合〉
国によっては、米国との条約がなく、その国の公証人制度があっても海外で通用しない場合もあります。そうした場合は、原則、米国大使館か領事館で公証を行う必要があります。
公証のアポイントを取る米国大使館のページは国務省が運用していて、どこでも共通フォーマットです。グーグルなどのサーチエンジン上、US embassy, notarize, China など、居住国を入れてサーチされると、該当ページが出てくるかと思います。
注意点として、多くの大使館・領事館では、現在、入館にあたって、セキュリティ上、持って入ることが禁止されている荷物を預かる入り口のサービスが無く、こういう、館内に預かりスペースが無い大使館・領事館の場合は、近所の有料の預かりサービスを使うことになります。
なので、そういう場合、可能であれば、透明フォルダーなどに必要なものだけを入れて、バッグは持っていかないなどの自衛策が有効です。
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2,公証が必要とされる書類
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公証が必要とされるのは、通常は登記が必要な書類です。
関係者が、任意に登記事項に合意をしたということを役所に届け出るための証明として利用されます。
サインをする決済書類は、最近だとメール添付でもらう事が多いと思います。事前にプリントアウトだけしておき、公証人の前で、身分証を見せながら、自筆サインをされ、日付を入力されてください。
それを確認した公証人が、「私の目の前でこれこれの方は任意にサインをされました」という趣旨で、サインやスタンプを押してくれます。
登記書類の例としては、「売却時の名義譲渡書類(WARRANTY DEED)」や「抵当権設置に合意をする書類(MORTGAGE)」。
例えば、ローンを使って不動産を取得する場合、サインをする書類はたくさんありますが、通常、公証が必要なのは、「銀行の抵当権を設定することに合意をする書類」だけでしょう。
物件を売却する場合は、「買い手に名義を譲渡します」という譲渡書類に公証が要求されます。
また、晴れてローン返済が終わり、銀行が設定した抵当権を解除してもらう場合は、抵当権解除を行う銀行側の人間が、公証をした解除書類を差し入れるわけです。
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3,本人確認、任意性確認
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公証が必要になるのは、遠隔で、あるいは、時間差がある状況で、本人が、該当書類に任意にサインをしていることを担保するため。
カルフォルニア在住者がマサチューセッツの物件を売るという場合、現地に飛ぶケースもあるでしょうが、カルフォルニアで売却書類一式にサインをし、公証が必要な書類には公証人のスタンプを貰った上で、フェデックスなりで書類を送るといった形での決済が実現可能になります。
そのため、公証人の前では、何らかの写真付きIDを見せる必要があります。米国でなら、自動車の運転免許証やパスポート。日本国内であれば、パスポート、運転免許証、住民基本台帳カードなど。
また、米国大使館では、通常、英語でのやり取りとなります。「この書類はどんな書類か、わかっていますか?」「わかっています。自分が持っている物件を売却するために名義を譲渡する書類です」といった簡単なやり取りをする必要があります。
ごく稀に、公証の他、証人(WITNESS)にサインをしてもらう必要まである書類もあります。細かい段取りは、登記を司る自治体(COUNTY/郡レベル)ごとに異なりえますので、決済前に聞いておくことが必要です。
===== 不動産の書類は決済の数日前に届くことが多いです。 米国大使館に行かなければいけない場合、アポが必要で、大使館・領事館によっては混雑して1週間以上前に予約をしないとアポが取れない場合もあります。 その場合、書類の到着を予測し、アポを事前にとっておくことも必要になる場合があるでしょう。 また、最近では、公証した書類を含め、一式書類をスキャンしてメール返送すれば、それをもって決済自体は行えることが多いです。 そして、実際の書類も現物が必要にはなるのですが、現物は後日で構わないので、流れとして、例えば、 > 大使館のアポをとっておく といった形で処理することになります。 スキャナがない場合、携帯電話で写真を取り、JPGファイルでそのまま相手に送れば対応してくれる場合もありますが、写真のプリントアウトは、問題が生じることもあるので、担当者のパソコンスキルによっては、「PDFでください」などと言われてしまうこともあります。 プリンタがあれば、一番きれいにスキャンできますが、携帯の写真の場合でも、余裕があれば、スキャナアプリ(無料で使えるものもあります)を利用してPDF変換してから返送されれば万全でしょう。 また、デジタルでファイルを返送する場合、つい、習慣で、日本語のファイル名(例:”スキャン.jpg”、”契約書.pdf”)をつけられる方が多いですが、ファイル名が半角英数字でないと、海外の方は、ファイル自体が開けません。 日付や、ABC291.pdf など、意味のない羅列で構わないので、海外とのやり取りをされる場合、添付書類は必ず半角英数字で保存されたものを送られること。 日本と米国とでは半日のタイムラグがあるので、こちらが、決済直前の連絡に対応し、「やることをやった」という思いでメールをして、翌朝起きると、「ファイルが開けられませんでしたので再送してください。書類が届かなかったので、決済日は明日になりました」といった返事が来たりして、向こうは、もう業務終了、なんていうことになりかねません。 このように、結構細かいポイントがいろいろあるので、多くの場合、物件購入にあたっては、不動産業者さんのお勧めに従い、「現地に行って行う」ことが一般的でしょう。その場合、決済代行会社の担当者が公証人としてサインを公証してくれます。 しかし、買うときは決死の覚悟で渡米したとしても、売却の場合の決済は、「行かないで済めばな」と思う方のほうが多いでしょう。 そんな人のために、一昔前には「実際に現地に行かなくてもいいから楽」ということで整備されたのが公証制度。 現在、時代は更にスピーディーな解決を求めるようになり、「公証に行くこと自体が面倒だなあ」というレベルの話にもなっています。 というわけで、パソコン上で、公証人とチャットで本人性、任意性を確認するオンライン公証のサービスも発足しており、今後、広がるのではないかと予測されます。 ご注意:役所のサービスではなく民間業者のようです。米国の納税者番号(ITINではなくSSN)が必要になります。私はこの会社の関係者ではないので、取引を行われる州、郡で、このサービスがご利用できるかどうかは、実際に決済をする場合の現地の関係者にご確認の必要があるでしょう。
最後に
> 書類が来る
> 公証し、スキャンしてメールバック
> 現物をEMSやUSPSなどで返送記事のまとめ
米国不動産投資に必須の公証とはなにか。米国大使館や領事館で行う公証。日本の公証人役場で行う公証。公証の将来はオンラインへ?