COVID まっさかりのアメリカ。ニュースを見ると、怖いことばかりですが、私自身の不動産ポートフォリオは、実は、平時に準じた運用状況で、平和に高利回り運用中です。
アメリカでは、COVID 問題が長引き、アフリカ系アメリカ人の不満も爆発中。世界の多くのエリアで、影響を被っている方が多い中、私自身がマネージメントしているポートフォリオは、それほどの影響がなく、大体、順調です。
このご時世に、はばかられるところもあり、あまり言及したくない気持ちのほうが大きかったので、ここしばらく、ノウハウ系の投稿に集中していました。
しかし、これは、投資ブログであり、ご参加いただいている多くの投資家様への責任もあるので、米国でのパンデミックの本格化から4ヶ月たって、ここ数ヶ月の数字が蓄積できたということで、私個人の不動産ポートフォリオの運用状況を開示します。
下が私自身の不動産投資ポートフォリオの全容です。(2020年7月20日現在)
顧客様は、下の案件の一部にご投資をされている場合、どれか、おわかりになると思います。少額、端数の数字が多いのは、投資家様へのご案内を優先した後に残った枠を私が取ることが多いからです。
総投資額 109万ドル強(現在の為替だと、日本円で、1億1,727万)
デフォルト率は、現在、CENSA という案件が一件だけなので、件数比率でいうと、12分の1(8.33%)または11分の1(賃貸物件を別枠と考えた場合。9%)、金額比で全不動産投資額の20%または、短期融資投資だけでの比率22.48%で、私の過去の累積の数字の想定内。COVID に絡んでのデフォルト率上昇はありません。
実は、現在は、賃貸経営は、ほとんどしていません。一番上の RENTAL PROPERTY という一軒だけ、21万ドルほどの物件に、10万ドルほどのローンが残っており、現在の ZILLOW のなんちゃって評価額を前提に計算すると、エクイティが、11万ドルほどになります。
短期投資案件は、ほとんど、年率換算で、10%前後、それに対し、賃貸物件は、減価償却は取れますが、融資があるので、ネットのリターンは、年間で、2,000ドルくらいにしかならないため、投資エクイティに対するリターンとしては、ご覧のように、大変低いです。ただ、賃貸物件は、年金生活者の夫婦が長期居住中。経済後退があっても、テナントさんには影響がないのがありがたいところです。
後は、総て、短期投資案件で、一軒、NORTHWESTERN 案件について、特殊事情があり、3ヶ月の金利免除を了承したため、本来、年率12%で回る案件ですが、今年は、9%になるだろうと予想されます。この案件は、合計融資期間が5年のため、累計で毎年金利のみ返済を12%とってきていて、今年が4年目です。
私はもう50代なので、融資を引いての投資には、興味がありません。これは、考え方次第ですが、アメリカでは、不動産で融資を取ることに一番意味があるのは、私の考えでは、自分のポートフォリオが、成長期の間ではないかと(または、自宅)。
理由は、3つあります。
第一には、アメリカでは、賃貸経営の投資リターンは大変低いという問題。
現在、金利は、長期固定で4%前後ですが、それでも、歴史的な低金利です。融資を引いて、ローン返済後のネットリターンで、意味のある収入を作るためには相当なリスクを取ることになります。私の賃貸物件の例を取ると、エクイティが11万以上もあるのに、リターンは、去年、2,055ドルでしたので、このペースで、年間10万ドルのネットキャッシュフローを作るには、50軒の物件を常時、満室経営する必要があります。
現金買いであれば、年間8,000ドル残るので、20万ドルの物件を13軒ほど買えば済みますが、つまりは、20万×13軒で、260万ドルの元手が必要になります。
賃貸ポートフォリオに、経費ゼロ、満室経営が長期に続くわけがありません。入れ替えを前提にすると、うまく行っても、15,6軒は、必要でしょう。現金で、300万ドルです。
それに対し、今、私は、その半額以下の金額で、年間10万ドルを上回る投資所得が回収できていますので、減価償却は取れないものの、こちらのほうがずっと効率がいいことがおわかりになると思います。
第二に、キャピタル・ゲインは、自分の投資スタイルでも取れる可能性が高いこと。
長期賃貸経営をすることに意味のある理由の第一が、含み資産でしょう。不動産は、減価償却が取れる上、長期キャピタルゲイン税率は、通常の雑所得、所得の TAX BRACKET 枠より低いですね。しかし、実は、私にとっては、これも、賃貸経営の欠点。
というのも、バブルのとき以外の平時に、値上がりで意味のあるキャピタルゲインを得るのには、5年よりは10年に近い期間が必要なのです。一般に、不動産の長期値上がり率は、インフレより1,2%上、合計して3,4%が多いので、年率4%で値上がりを計算すると、5年目に、ようやく2割増しです。【投資における平均回帰の意味】
購入するときの経費は、それほどかかりませんが、売却時には、仲介手数料だけで6%が取られますので、修理代、決済手数料を含めると、売却時には、8%から10%のエクイティが出ていくことを覚悟する必要があります。
そうすると、5年後の2割の値上がりのうち、1割分は、よそに持っていかれてしまうため、自分にとって意味のあるエクイティを現金化することを考えると、5年より長い期間のホールディングが必要になります。
私は、それほど長い間、面倒かつ将来が不透明な賃貸経営をするのがいやなのです。
この値上がり3,4%というのは、歴史的な一般統計で、もちろん、より効果的なタイミングや購入方法、エリアはありえますが、私は、2008年のバブル崩壊後、自分がいかに凡庸な投資家であるかを痛感したため、凡庸なリターンを前提に計算をする癖をつけているのです。
過去にお客様に、6年で4倍近いリターンを実現していただいたケースなどはもちろんあります。私自身の最高記録は、3年未満で2倍強です。ただ、こういう利益のとり方は、常時というわけに行きません。
それに対し、短期融資案件でのキャピタルゲイン取得というのはどういうことでしょうか。
これらの投資は、一定程度、デフォルトすることがわかっています。一見、焦げ付きというと嫌な感じですが、私達の仕組みだと、返済がデフォルトすると、担保物件を強制執行し、こちら名義にして売却するため、結局、キャピタルゲインを得ることになるわけです。
長年の経験で、短期融資のデフォルト率は、大体15%前後を想定しており、今年の私のポートフォリオも、金額ベースで言うと、デフォルト率20%、案件数でいうと、8%で、この想定内の数字で推移しています。
このシナリオの場合、短期融資の予定金利や、長期に普通に賃貸物件経営をするより、リターンが、高く取れることも多いのですね。もちろん、正直に言えば、ギリギリ元本回収だけで終わってしまった残念なケースも経験があります。しかし、時に、そういった見込み違い、誤算が生じうるのは、長期賃貸経営をする場合でも、同じです。
ちなみに、当方名義になってからは、通常、1年以内で売却することになりますが、米国の申告上は、案件への融資をしている場合、融資着手時から計算できるので、長期キャピタルゲイン税率適用で終わらせることができます。(日本在住の方は、この場合、日本での申告が短期譲渡税になってしまうという問題がありますので、通常、LLC 法人設立をお勧めしております。(国税庁における米国LLC取り扱いはこちらから)
つまり、長期に渡って、苦労して賃貸経営をしなくても、10軒に1軒は、キャピタルゲインが取れる確率が高いので、値上がり益狙いは、そちらのほうで、十分なのです。
第三の理由が、ずばり、手間です。
私は、長年、不動産投資に伴う管理をしてきましたが、軒数が増えれば増えるほど、ストレスです。アメリカでは、契約更新は毎年で、離婚率は日本より高く、戸建て投資の場合のテナントの出入りは、日本の倍以上の率で進行します。それに対し、このスタイルだと、毎月の仕事は、明細の確認だけです。
投資金額、案件数が増えてくると、この手間の問題は、避けて通ることができません。
私の顧客様の例を見ると、現役の方が、本業が忙しくて資産管理にそんなに時間を使えないよ、そういう場合のほうが多いです。
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株式の投資では、50を過ぎたら、債券や現金の比率を上げることが一般的です。通常、勧められるのは、年代に応じた債券、現金比率。例えば、30代なら、投資ポートフォリオの債券部分は3割、それが、50代になると、リタイヤ対策として、リスク資産の比率をもっと落とさなければいけないということになり、国債の比率は、5割に上げるように、と勧められるのがが定石。
それなのに、米国の不動産投資の世界でも、「年齢が高まるにつれ、ディフェンシブな考え方を取って、融資は控えよう」という思考は、見当たりません。特に、海外の不動産投資は、日本と違い、生命保険がセットになっていないことは、忘れてはいけません。
しかし、何歳になっても、前にもまして、レバを掛け、これまで以上にリスクを増やしましょうという考え(「信用が増せばもっとどんどん借りられますよ」)ばかりが有力であるというのは、不動産業界の問題点でもある気がします。
以上のようないくつもの理由で、私は、資産の流動性がより高い自分の運用方法が、長期賃貸経営より優れていると思うに至りました。
話を COVID の影響という問題に戻しますと、私が投資している唯一のデフォルト中の案件である CENSA という案件は、当方名義にしなければいけないというあと一歩のところで、今年3月に、裁判所閉鎖の憂き目をくらい、そのまま、4ヶ月が経過している状況です。
この物件は、現在も引き合いがあり、平時であれば、もう売却し、元本や予定金利以上の金額をらくらく回収できていただろうと思いますが、COVID 問題で、資金が寝ている状態が続いています。このせいで、回収総額から、うまみが減ることは間違いありません。(但し、元本を減らしてしまうところまでは行かないでしょう。)
以上のように、影響は、ゼロではありませんが、今の所、COVID の影響は、この CENSA 案件の取り立てが遅れていることと、NORTHWESTERN で3ヶ月分の月利を減額したことだけ、で済んでいます。
この記事の概要
2020年7月の私の個人ポートフォリオを中心に、米国不動産投資運用実績を開示しました。COVID 問題の影響は幸い、最小限。賃貸経営を同じ規模で展開していたら、融資を引いていたらと思うと、ゾッとします。
米国には、第二の波も来てしまい、今後も予断を許すわけではありませんが、現在の新規投資案件は、通常にもまして、厳しい審査をしているため、デフォルトの確率は、平時と変わらないか、逆に減るかもしれないというのが、私の今の観測で、私自身、今年、すでに2件が償還となり、資金は、両方、そのまま、別の新規案件に再投資しました。
資産運用に悩まれている投資家様、賃貸経営に満足できない資産家様は、ぜひ、お問い合わせください。 日本側で、海外不動産投資が節税対策に利用できなくなるために、2021年以降、「古い物件を海外で買って、加速的に減価償却を日本で取る」手法は通用しなくなり、投資案件自体のクオリティに基づいて、不動産投資をしていかなければいけなくなります。その際には、ぜひ、ご相談ください。
既存の顧客様も、COVID 後のここ数ヶ月の実績に安心され、投資額増額のご意向を続々と頂いています。